「時間が足りない」もドーパミン中毒?身近な快楽物質の危険性とは

biology 2020/01/02
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point
  • 合理的に行動するラットたちは、光と音による刺激を与え続けることにより、不利益な選択をしてでもより強い刺激を求めるようになった
  • 人間は身近な習慣によりドーパミン中毒になり、人生を不幸にしてしまう可能性がある

最近、「時間が足りない」「生産性が低下している」「幸福ではない」「満足感がない」と感じていませんか?もしかしたらそれは、ドーパミン中毒から来ているのかもしれません。

例えば、SNSは非常に便利ですが、私たちをドーパミン中毒にさせる危険もあります。やるべきことがあるのに、SNSについ触れてしまったり、「SNSの画面を開いて、気付いたら1時間経っていた……」というのも危険な症状のひとつ。

この兆候は、単に「SNSが好き」なのではなく、脳の「ドーパミンによる働きが原因」である場合があります。

ドーパミンはあらゆる依存症の原因です。依存症を避けるためにも、「快楽物質ドーパミン」の危険性について考えてみましょう。

依存症の背後にはドーパミンが…

現代では多くの人が何らかの依存症に悩まされています。ギャンブル依存症に陥っている人は、自分に不利益を生むと分かっていてもギャンブルをやめることが出来ず、自身と周囲を巻き込み不幸にしてしまうのです。

このような依存症の背後には、脳内物質であるドーパミンが大きく影響しているようです。快楽物質とも呼ばれているドーパミンですが、その本質は「快楽」というよりも「期待」です。脳は報酬が得られそうだと期待する時にドーパミンを分泌します。ドーパミンはわたしたちを興奮させ、何が何でも報酬を得るよう行動させます。

ドーパミンが分泌されている間、私たちは興奮してドキドキしているので、それを「快感」だと思ってしまうかもしれません。しかし、実際は、ただ「期待しているだけ」ですので、それが満足や幸福に結びつくわけではありません。

ドーパミンには強い興奮作用があるため、「期待させる」遊びを繰り返すことで、いつの間にか依存症になってしまいます。これは本当の幸福とは全くかけ離れています。

ラットによるカジノ実験

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ドーパミン中毒が人を不幸にすることを証明する、1つの実験が行われました。

ブリティッシュコロンビア大学の研究チームが、「ラットのためのカジノ」を作成。このカジノには4つのボタンが用意されており、ボタンを押すことで甘いおやつが貰えるようになっています。

それぞれのボタンには確率が設定されており、当選しておやつを貰えることもあれば、はずれて何も貰えないこともあります。確率は様々で「ハイリスク、ハイリターン」のボタンもあれば、「ローリスク、ローリターン」のボタンも用意されています。

通常の状態では、ラットたちは「ハイリスク、ハイリターン」を避け、確実におやつを得られるボタンを選び続けました。ラットたちにも、自分に利益をもたらすための思考力があると分かりますね。

続いて、カジノのように、ボタンに音や光の演出を加えるようにしました。大当たりしたときには、通常の当たりより派手な音や光が加わるようになっているのです。おやつの量は変わりませんが、スロットマシンやパチンコのように、より興奮や期待を誘うようになったのです。

演出と刺激が加わった途端、ラットたちの行動に大きな変化が生じました。これまでのように、確実におやつが貰えるボタンではなく、「ハイリスク、ハイリターン」のボタンを選ぶようになったのです。

ブリティッシュコロンビア大学心理学部のマイケル・M・バラスとキャサリン・A・ウィンスタンリーはこの研究結果について、次のように結論しています。

「要約すると、これらの実験データは、刺激がある時の方が、ラットたちは不利益かつハイリスクな選択をすることが多いと証明している」

さらに、ラットにドーパミンの影響を受けやすくする薬を与える事で、この傾向が強まった事も報告されています。

この実験は、「期待させる」ための強い刺激を受け続けることによりドーパミン中毒になること、さらに中毒者は不利益を被っても、「期待させる」遊びがやめられないことを示しています。

ドーパミン中毒はギャンブルだけではない!


ドーパミン中毒になってしまうのはギャンブルだけではありません。「期待させる」遊びであれば、どんなものでも可能性があります。例えば、「SNS」「ネットサーフィン」「ゲーム」「ポルノ」などが該当します。

SNSの利用はわたしたちに刺激を与えます。「いいね」や「コメント」があると嬉しいものです。SNSやネットサーフィンをしている時は、そうした「小さな刺激」を期待して、探し続けている状態です。これはドーパミンの働きによるものです。得られた報酬とは見合わないほど時間を費やしてしまうのですが、やめられません。

スマホゲームのガチャ機能やポルノ映像も同様です。刺激によってドーパミンが分泌されますが、大して満足しないにも関わらず、課金してしまったり、時間を費やしてしまったりします。結局満足していないので、しばらくすると、また刺激を求めてしまうでしょう。

本当の幸福を得るにはドーパミン中毒から脱却すべき

ドーパミン中毒から脱却するためには、周囲にある刺激的で「期待させる」習慣を制限する必要があるでしょう。

まずは行動の結果を考えるようにしましょう。理性的な考えが、ドーパミンの「きっと良いことがあるに違いない」という期待を打ち消してくれるはずです。

 

 

 

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