なぜ「水」だけが特別なふるまいをするのか、その理由が解明される

chemistry 2018/04/02
Credit: José Manuel Suárez

私たちにとってあまりにも身近な「水」。実はこの液体、他の液体にない非常に珍しい性質があることをご存じでしたか?

最新の研究において、科学者たちがその起源に迫りました。どうやらその特異な性質には「変わった分子の配列」が関係しているようです。

Water-like anomalies as a function of tetrahedrality
http://www.pnas.org/content/early/2018/03/22/1722339115/tab-article-info

よく知られている仮説の1つに、水の表面には、氷の表面のような秩序のある構造、つまり隣り合う水分子が連続した強い水素結合で結ばれた安定構造をとるというものがあります。

水の最も変わった性質の一つはその「密度」です。ふつう、液体は冷やされると密度が上がります。しかし、水は4℃において最大の密度を示します。水は0℃において固体の氷になりますが、その密度は水よりも低く、氷が水に浮くのはこういった理由からです。また、「表面張力が大きい」ことも水の変わった点の一つです。水銀を除けば、液体の中で最も大きな表面張力をもっています。さらに、他の液体に比べて「沸点や融点が高い」といったことや、「気化熱が大きい」といったことも、水の特異点として挙げられます。

Credit: pakutaso

このような「謎」を解くために、科学者たちは水を「分子レベル」まで掘り下げて考える必要がありました。常温であれ氷の状態であれ、水の分子は4つの頂点をもつピラミッドの構造をしています。

水のもつ異常な性質は、実はこのような正四面体の構造を形成する傾向を持つ液体に共通してみられます。例えば、シリコン、ゲルマニウム、炭素、シリカなどの液体です。これらの液体は、水素結合、共有結合などの方向性の結合を持ち、それが局所的に正四面体的対称性を好むのがその起源であることが知られていました。しかし、正四面体形成能や温度・圧力相図の形とこれらの液体の示す特異性の間の関係については、これまでほとんど知られていませんでした。

Credit: stspro

そこで、東京大学とブリストル大学の共同研究チームは、正四面体構造を形成する傾向の強さを系統的に変えることが可能なシミュレーションモデルを用いて、ピラミッド型の水分子の形状に変化を加えました。するとなんと、水が他の液体と同じように働きをみせたのです。たとえば、氷の状態では密度が上がり、その「氷」は水に沈みました。

研究チームは、すべての水の特異性は、その特殊な分子の配列に起因しているようだと語ります。

しかし、その配列は容易に変えられるものではありません。水、シリコン、シリカに代表されるこれらの液体は、人類にとって最も重要な物質です。もし簡単にその配列が変わってしまえば、血管において水は安定して細胞を運べなくなり、私たちは生きていけなくなるでしょう。また、水が氷になったときに低い密度を示すことは、地形の変化にも影響しています。つまり、水の状態で岩に染み入り、その後凍ることで体積が増えれば、岩を内側から破壊することになるからです。

私たちにとって非常に身近な「水」の謎に迫ることに成功したこの研究。その成果は、生命科学、地球科学など広範な分野への波及効果が期待されています。

 

via: sciencealert , pnas/ translated & text by Nazology staff

 

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