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未発見のタイプの超新星爆発によって弾き飛ばされた星が、銀河を時速90万キロで移動している (2/2)

2021.01.28 Thursday

2020.07.19 Sunday

前ページ組成が異常な白色矮星

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まだ発見されていないタイプの超新星

こうした観測の中で、研究者たちはこの白色矮星が時速90万キロメートルという速度で移動していることに気づきました。

さらにこの白色矮星の質量が太陽の40%程度しかないということも突き止めました。これは白色矮星としては非常に軽い質量で、部分的超新星の質量損失と一致するといいます。

この星はもともと、非常に近い距離に伴星を持つ連星系の片割れだったのでしょう。

こうした連星がくっついた場合、たとえ死んだ星である白色矮星でも、チャンドラセカール限界を超えてⅠa型超新星爆発という熱核爆発を起こすことが知られています。

画像
Credit:University of Warwick/Mark Garlick

しかし、研究者はこの星の持つ特徴的な化学組成、質量の低さ、非常に速い速度から、Ⅰa型超新星爆発とは異なる、これまで見たことのない種類の超新星だった可能性を考えています

Ⅰa型超新星爆発は、暗黒エネルギーの発見にも繋がった、宇宙の距離測定などで利用されている天文学者にとっては馴染み深い現象です。

Ⅰa型超新星爆発では長く続く閃光の中でニッケルが放射されますが、今回の星にはそれがありません。それはこの超新星が発見するのが困難な非常に短い閃光だったことを示唆しています。

この超新星は、すべての核爆発を起こさずに途中で質量の大部分を急激に放出してしまい、白色矮星はその影響でパチンコのように弾き飛ばしたと考えられます。

このため、この星が経験したのは部分的な超新星というまったく新しいタイプの現象だった可能性が高いのです。

超新星爆発は、まだその性質を完全に理解するには非常に難しい現象です。

爆発がほんの短期間に終了してしまえば、その現象を直接観測することは困難になります。その場合、この生き残った星が、まだ見ぬ新タイプの超新星を理解する唯一の手がかりとなるでしょう。

超新星にまだ新しいタイプがあるとは驚きです。

この研究は、イギリスのウォーリック大学の研究者Boris T Gänsicke氏を筆頭とした研究チームより発表され、論文は『王立天文学会月報』に7月20日付けで掲載されています。

SDSS J124043.01+671034.68: the partially burned remnant of a low-mass white dwarf that underwent thermonuclear ignition?
https://doi.org/10.1093/mnras/staa1761

未知の天体「プラネット・ナイン」を1年以内に検出する!? 太陽系ブラックホール観測計画をハーバード大が発表

reference: University of Warwick,sciencealert/ written by KAIN
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