交尾後メスに食べられないため、自ら「ペニスを切り離すクモ」は戦闘につよい

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下アゴの両はしにあった性器が外れたオス
下アゴの両はしにあった性器が外れたオス/Credit: Matjaz Kuntner
reference: cbsnews, natgeo

虫の世界では、交尾後にメスに食べられてしまうオスがよくいます。

彼らの目的は子孫を残すことなので、メスの栄養になるなら喜んで身を捧げるのかもしれません。

しかし、中には突飛な方法で捕食を回避する生き物もいます。

東南アジアに生息する「マラバルジョロウグモモドキ(学名: Nephilengys malabarensis)」のオスは、交尾後に自分の性器を切り離してメスから逃げるのです。

 

オスの交尾チャンスは1度きり?

マラバルジョロウグモモドキは、メスの方が圧倒的に大きく、メスによるオスの捕食がしばしば見かけられます。

しかし、子孫を残すには、どうしてもメスに近づかなければなりません。そこでオスは、交尾中に自分の性器を切り離す方法を編み出しました。

オスには、ペニスに当たる器官が2つあり、それをメスの生殖孔に入れて精子を送り込みます。メスの生殖孔も2つあるので、オスは1度の交尾で2つとも失うことがあります。

切り離した性器(赤枠)、左に見える小さいのがオス
切り離した性器(赤枠)、左に見える小さいのがオス/Credit: cbsnews

当然ながら、性器を失ったオスは2度と交尾できません。そのため、彼らの交尾チャンスは原則1回、多くても2回です。

「そこまでしてメスから逃げたいのか」と思ってしまいますが、実はオスの真の目的は他にあったのです。

メスを守る”強戦士”に変身

これまでの研究で、性器を切り離したオスは、一目散にあとを去るのではなく、メスの側にいて近寄ってくる他のオスを撃退することが分かっています。

しかも、性器を失ったオスは、スタミナや戦闘力が上がり、撃退率が以前の3倍以上に跳ね上がるのです。

これは性器を失うことで身軽になることが原因とされます。

マラバルジョロウグモモドキのメス
マラバルジョロウグモモドキのメス/Credit: natureoz

ある研究では、性器を1つ取り除くと体重が4%軽くなり、2つ取り除くと9%減ることが判明しました。さらに、性器なしのオスのスタミナは、性器を2つとも残しているオスより、80%も高くなっていたのです。

また、性器を失ったオスは、2度と交尾のチャンスがないので、死に物狂いで将来のわが子を守るのでしょう。

メスを守るのは「精子の移送」に時間がかかるため

オスが必死でメスを守るのは、切り離した性器から精子を送るのに時間がかかるためです。

過去の研究によると、オスの精子の30%は交尾中にメスの体内に送られるのですが、残りの70%は切り離した性器の中に残されます。

ここから全体の85%の精子(確実に受精できる量)を体内に移送するには、最低でも20分かかるそうです。

その間に、他のオスがやってきてメスの生殖孔から性器を取り外し、横取りされては元も子もありません。

オスは、自分の遺伝子が確実に残るのを見届けるまでは、命を賭してメスを守り抜くのです。

人生最大の大仕事をやってのけたオスに、思い残すことはもう何もないでしょう。

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