1000ワットの電子レンジでプラスチックから水素とカーボンナノチューブをつくりだした
1000ワットの電子レンジでプラスチックから水素とカーボンナノチューブをつくりだした / Credit:Nature catalysis
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「電子レンジ」で”ビニール袋を宝の山にする”技術が登場! 廃棄プラスチックから水素とカーボンナノチューブを回収できる

2021.01.27 Wednesday

2020.10.20 Tuesday

Nature catalysis https://www.nature.com/articles/s41929-020-00518-5

廃プラスチックを宝の山にする方法が開発されました。

10月12日に『Nature catalysis』に掲載された論文によれば、マイクロ波を使うことでプラスチックに含まれる水素の97%を回収する方法がみつかったのだとか。

プラスチックの代表である、ビニール袋に含まれる水素は重量比にして14%とされており、1kgのビニール袋のゴミから理論上、13.58 gの水素を回収することができます

2005年には水素1gで電気自動車を25kmも走らせることに成功しており、13.58 gの水素があれば計算上、340kmぶんの距離を走行可能になります。

しかも、この「廃プラを燃料にして走る車」から排出されるのは二酸化炭素ではなく、非常に純度の高いカーボンナノチューブの塊だというのです。

しかし、研究者たちはいったいどんな仕組みで、プラゴミから水素とナノチューブを抽出したのでしょうか?

マイクロ波でプラスチックを温める方法

ビニール袋の重量の14%が水素。そのためプラスチックは優秀な水素源とも言える
ビニール袋の重量の14%が水素。そのためプラスチックは優秀な水素源とも言える / Credit:depositphotos

イギリス・オックスフォード大学のピーター・エドワーズ氏は、ブラスチックの再利用技術を研究していました。

代表的なプラスチックであるビニール袋は非常に厄介なゴミである一方で、重量比にして14%の水素を含んでいることが知られています。

もしこの水素を簡単に抽出することができれば、廃プラは一夜にして燃料電池を充電する電力源にうまれかわります。

ただ問題は方法でした。

プラスチックから水素を抽出するには、理論上、高い温度が必要とされており工程も複雑です。

そこでエドワーズ氏らは電子レンジの原理を応用することを思いつきました。

電子レンジはマイクロ波を発することで、内部の水分子を振動させて熱を生じさせます。

ただプラスチックは水分子と異なり、マイクロ波ではうまく加熱できません。

タッパに入った食材を電子レンジで温めても、加熱されるのは食材のみで、容器のプラスチックは熱くならない…という事実は誰もが知る常識でしょう。

そこでエドワーズ氏らはある「ひと手間」を加えることにしました。これが、後に大きな成果をもたらすことになるのです。

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