永遠のダイヤモンドも人工なら数分で作れてしまう? 熱を使わず短時間でダイヤを合成する技術が登場

ダイヤモンドの永遠の煌きはわずか数分で作れる。
ダイヤモンドの永遠の煌きはわずか数分で作れる。 / Credit:pixabay

reference: ANU,RMIT,zmescience

自然界のダイヤモンドは数十億年も昔に地球の地殻の奥深くで激しい熱と圧力にさらされた結果形成されたものです。

しかし、オーストラリアの科学者はわずか数分で、しかも室温でダイヤモンドが作れると主張します

11月4日にナノテクノロジーに関する科学雑誌『Small』で発表された新しい研究は、そんな合成ダイヤモンドの作成方法について報告しています。

>参照元はこちら(英文)

ダイヤモンドができるまで

ダイモンドの中に潜む炭素の結晶構造。
ダイモンドの中に潜む炭素の結晶構造。 / Credit:RMIT

ダイモンドは通常、地球表面の150~200kmの深さで形成されます。温度は平均900~1,300℃、圧力は地表の約5万倍も必要です。

この特別な条件下でダイヤモンドができるまでにはさらに何百万年もかかります。これがダイヤモンドがありふれた炭素でありながら、珍しい鉱物である理由です。

しかし、科学者たちはこのダイヤモンドを人工的に合成する方法を見つけようとしています。

最初に合成ダイヤモンドに成功したのは1954年で、ゼネラル・エレクトリック社のトレイシー・ホールが、地殻内の自然条件を模倣してダイヤモンドを作成しました。このときホールはダイヤ形成のプロセスを加速させるため、グラファイトに溶鉄などの金属触媒を添加してダイヤモンドを合成しました。

現在業界で使用される合成ダイヤモンド作成のもっとも一般的な方法は、この延長となるもので高温高圧合成(HPHT)法と呼ばれています。

この方法は何十億年も昔、地球がダイヤモンドを作ったのと同じように、炭素を高温と高圧にさらすものです。

しかし今回の研究では、オーストラリア国立大学(ANU)とロイヤルメルボルン工科大学(RMIT大学)の研究チームが、マントルのような高熱に頼らずに室温でダイヤモンドの合成に成功させたのです。

握りしめれば炭素がダイヤモンドになる?

映画スーパーマンの有名な1シーン。スーパーマンが石炭を握りしめるとダイヤモンドができる。
映画スーパーマンの有名な1シーン。スーパーマンが石炭を握りしめるとダイヤモンドができる。 / Credit:superman diamond scene,Hector Quiles

映画スーパーマンの中には、スーパーマンが石炭を強く握りしめてダイヤモンドを作るという有名なシーンが登場します。

当時これを見て、真似して石炭や木炭を握りしめ手を真っ黒にした子供も多かったようですが、これは科学的に正しいものだったようです。

今回の研究は、このスーパーマンがやってのけたのと同じやり方でダイヤモンドを合成したのだといいます。

チームが実験したのは、黒鉛のような炭素の小さなチップの両端を非常に高い圧力にさらすという方法でした。

実験装置を前にした研究チームのドゥガール・マカロック教授と、学生のブレントン・クック氏。
実験装置を前にした研究チームのドゥガール・マカロック教授と、学生のブレントン・クック氏。 / Credit:RMIT

今回の実験の特徴的な点は、これまでの研究とは異なり圧力のみを加え、熱は一切加えなかった点です。

ここで与えた圧力は80ギガパスカルを超えるもので、バレエシューズの先端にアフリカゾウ640頭分の重さをかけるようなものだと表現されています。

そんな強い圧力のみによって、実験は2種類のダイヤモンドを形成させたのです。

合成に成功した2種類のダイヤモンド

ダイヤモンドは炭素の結晶ですが、この結晶構造は実は1つだけではありません。

通常、宝石店に並ぶようなダイヤモンドは、炭素原子が立方体に並んだ結晶構造を持っています。しかし、この炭素原子が六角形に配置された結晶構造も存在するのです。

それがロンズデーライトと呼ばれるダイヤモンドです。

ダイヤモンドの2つの結晶構造。左がロンズデーライト。右が通常のダイヤモンドの立方晶。
ダイヤモンドの2つの結晶構造。左がロンズデーライト。右が通常のダイヤモンドの立方晶。 / Credit:Wikipedia

ロンズデーライトが最初に発見されたのはアリゾナ州にあるキャニオン・ディアブロ隕石のクレーターからでした。

隕石衝突の強烈な熱と圧力によって、隕石内のグラファイトが変異して誕生したのがロンズデーライトなのです。

そんな珍しいロンズデーライトを今回の研究では合成することができたのです。

合成されたロンズデーライトと通常のダイヤモンドの川。
合成されたロンズデーライトと通常のダイヤモンドの川。 / Credit:RMIT

合成されたダイヤモンドを電子顕微鏡で撮影した画像では、ロンズデーライトと通常のダイヤモンドが川のような層を作って合成されているのが確認できます。

これはまだ謎の多いロンズデーライトの形成を理解するためにも重要な成果です。

地球でもっとも硬い鉱物が大量生産できる可能性も

ロンズデーライトは、研究によると通常の立方晶ダイヤモンドより58%も硬い可能性が示されています。

つまり地球上にある天然鉱物の中でもっとも硬い物質なのです。

そのため工業用機器の材料として研究者から関心を寄せられています。

しかし、ロンズデーライトはこれまで高圧プレスや爆発物を使ってごく少量の合成に成功しただけで、大量生産が行えるような方法はまだ見つかっていませんでした。

ダイヤモンドはただでさえ硬く宝石としての価値より工業製品としての価値が重要視されています。

そんなダイヤモンドや、ダイヤモンドより硬い珍しいロンズデーライトを常温で、たった数分で合成できるという技術は、多くの製造業の可能性を広げてくれる重要な発見です。

この研究を進めていけば、大量に安く、しかも素早く貴重な硬い工業材料を生産できる革命を起してくれるかもしれません。

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