マウスの摂食行動を抑制する「口」と「胃腸」のプロセス
最初の実験では、カテーテルによって、マウスの胃に直接食物を入れました。
その結果、胃腸から脳に信号が送られ、PRLHニューロンが活性化されました。
![マウスが通常通り口で餌を食べると、口から脳に信号が送られ、PRLHニューロンが活性化](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/11/53d04e31ce10eb6b2d5de862abbf33e9-900x600.jpg)
しかし次に、マウスに通常通り、口で餌を食べさせたところ、胃腸からの信号はなくなりました。
代わりに口から脳へ信号が送られ、PRLHニューロンが活性化されたのです。
つまりPRLHニューロンは、胃腸に食物が入っている場合にも活性化しますが、通常の食事形態では、口からの刺激(味覚や口腔接触)で活性化すると分かります。
ちなみに、PRLHニューロンの活性化により、マウスの総食物摂取量はほとんど変化しませんでした。
変化するのは食事のペースであり、この抑制効果により、急速な食物摂取による胃腸障害を防止できると考えられます。
加えて研究チームは、「PRLHニューロンの活性化は、マウスが食べ物をどれだけ美味しく感じるかに影響するようだ」ともコメントしています。
![PRLH ニューロン (緑色) は、味覚から生成される信号に反応し、食べるペースを落とす。GCG ニューロン (赤色) は消化管からの信号に反応し、満腹感を与える](https://nazology.net/wp-content/uploads/2023/11/FireShot-Capture-006-From-the-First-Bite-Our-Sense-of-Taste-Helps-Pace-Our-Eating-UC-Sa_-www.ucsf_.edu_-645x600.jpg)
一方、食欲を抑制するもう1つの脳細胞である「GCGニューロン」は、胃腸に食物が入った時に、胃腸からの信号で活性化しました。
これは、私たちがよく知っている満腹感のプロセスです。
これらの結果から、通常マウスが餌を食べる時、その脳は2種類のプロセスで摂食行動を抑制していると分かりました。