「続ける?やめる?」当たりを引くまでやめられない脳のメカニズムとは
「続ける?やめる?」当たりを引くまでやめられない脳のメカニズムとは / Credit: canva
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「続ける?やめる?」当たりを引くまでやめられない脳のメカニズム

2024.06.10 Monday

「スマホゲームの課金アプリで、当たりを引くまでガチャがやめられない」

これに当てはまる人はかなりの数いるのではないでしょうか?

またスマホゲームでなくとも、パチスロや競馬などの賭け事で「次は勝つかもしれない」「いや、これ以上はやめておこう」と心の中で一人、せめぎ合いをした経験があるかもしれません。

このように、未来の大当たりを期待する際の「続けるか、やめるか」の判断は、どのように決定されるのでしょうか?

群馬大学や生理学研究所(NIPS)らのチームは今回、ヒトの脳活動をリアルタイムで測定し、「続けるか、やめるか」の判断に関わる脳領域の特定に成功しました。

研究の詳細は2024年5月25日付で科学雑誌『Cerebral Cortex』に掲載されています。

待つか?あきらめるか?未来の報酬を待ち続けるための脳機能を解明 https://www.nips.ac.jp/release/2024/05/post_538.html
Continuous decision to wait for a future reward is guided by fronto-hippocampal anticipatory dynamics https://doi.org/10.1093/cercor/bhae217

未来の当たりを期待するときの心理状況とは?

未来の当たり(報酬)を期待するとき、私たちはどのような心理状況にあるのでしょうか?

研究チームはその分かりやすい例として、「魚釣り」の状況を引き合いに出しています。

(ギャンブル好きな人は、自分が座るパチンコの台で考えてもいいでしょう)

まず、あるポイントでなかなか立派な魚が釣れたとします。

すると釣り人は、この成功体験から同じ場所に留まり続けるか、それともさらなる大物を期待して他の釣り場に移動するか、迷い悩みます。

このように未来の当たりを待っている最中に、私たちは「同じことを続けるか、変化を起こすか」を常に判断し続けることになります。

例えば、「よし、大きめの魚が釣れたからこの場所に留まろう」とか「引きがこなくなったけど、もう少し粘ってみようか」とか「これはダメだな、他へ移ろう」と逐一判断を繰り返しているのです。

チームはこうした心理状態を「連続的に意思決定している状況」と表現します。

未来の当たりを待つときの「魚釣り」の例
未来の当たりを待つときの「魚釣り」の例 / Credit: NIPS – 待つか?あきらめるか?未来の報酬を待ち続けるための脳機能を解明(2024)

しかし一方で、こうした連続的に意思決定している際に、私たちのがどのような働きをしているかは知られていません。

そこでチームは、未来の当たりを「待ち続けるか、やめるか」の意思決定に関わる脳メカニズムを明らかにしようと考えました。

次ページ「待つか、やめるか」に関わる脳領域を特定!

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