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中世のセイラム魔女裁判で起きた異常行動は「抗NMDA受容体抗体脳炎」が原因だった? 魔女裁判の医学的新説 (3/3)

2021.01.27 Wednesday

2019.01.08 Tuesday

前ページ抗NMDA受容体抗体脳炎とは

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異常行動と「抗NMDA受容体抗体脳炎」の関係

ザンディ氏らがセイラムの少女たちの症状に関する記述を分析した結果、不安、被害妄想、幻覚、発作といった抗NMDA受容体抗体脳炎の症状が少女たちにも見られることが判明。

また、抗NMDA受容体抗体脳炎に見られるジスキネジア(自分の意志とは無関係に身体のどこかが勝手に動いてしまう不随意運動)や、緊張病の症状(不自然な状態の姿勢を緊張から維持し続ける症状)に似た記述もありました。さらには、「口の動きが止まり、喉が詰まって息ができなくなった」という記述は、抗NMDA受容体抗体脳炎における脳が腫れ上がることで発声ができなくなる現象に類似しています。

では、感染性ではない抗NMDA受容体抗体脳炎が、なぜ同時に複数の少女にあらわれたのでしょうか?ザンディ氏は、その他の自己免疫疾患が遺伝性であることを理由に、従姉妹同士のベティとアビゲイルが同じ病気を抱えていても不思議ではないと説明しています。また、他の少女たちのケースは、「宗教コミュニティの中で無意識に悪魔としての役割を演じる」など、社会政治的因子が関係しているのではないかと、サンディ氏は語っています。

抗NMDA受容体抗体脳炎に掛かっていた少女がたとえ1人だけだったとしても、有力候な新説の1つになることは間違いないでしょう。歴史における神秘的な事案にこうした科学的知見が加わることで、「魔女」とされた彼女たちの名誉も少し挽回されたかもしれませんね。

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reference: bbc / translated & text by まりえってぃ

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