少しずつもらい、少しずつ与える。さもなければ…修羅の道
![単細胞の細菌と多細胞のカビ菌の共生関係](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/09/3372cf69db07b4dfff0232fbd775c21b-900x508.jpg)
今回の研究により、菌類の世界での新たなギブ・アンド・テイクが明らかになりました。
限られた空間に存在するエサを効率よく摂取するために、高い運動能力を持った単細胞型細菌と、運動能力は低いものの地域全体のエサとエサを結びつける多細胞型のカビ菌の両社は、互いの能力を生かして、誰に教えられるでもなく、共に生き残る道を選んでいたのです。
![中央のアオカビが分泌するペニシリンのせいで周囲の細菌が駆逐されている](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/09/736ecc37c983a0804883417a51dbb095-900x505.jpg)
ただこのような共生関係は常にみられるわけではありません。
ペニシリンの元祖であるアオカビは、栄養素を独占するために他のすべての細菌を殺す抗生物質を分泌することが知られています。
他の記事にもあるように、人間はこのアオカビのいわば「皆殺し能力」を薬に転用し、人間の体内を無菌状態に近づけることで感染症を防いできました。
しかし人間の世界も菌類の世界も、片利や独占がいつまでも続くはずもありません。
アオカビの系譜を引き継いだ人類は一時の利益の対価として、常に進化を続けるスーパーバグとの兵器開発戦争に突入しているのです。