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南極のペンギンは温暖化のおかげで繁栄していた!? 繁殖のメカニズムを解明 (3/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.06.25 Thursday

前ページ海氷がないことで移動範囲が広がっていた

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エサの増加で栄養状態が格段にアップ!

さらに、日光が当たる海面積が増えることで、植物プランクトンの大量発生が起きていました。

それにより、植物プランクトンをエサにするオキアミの数が急激に増加。オキアミのサイズや栄養分も、海氷があるシーズンと比べると、圧倒的に大きく、高くなっていました。

オキアミは、アデリーペンギンの主要な栄養源です。

画像
海氷がない場合のオキアミ(左)、海氷がある場合のオキアミ(右)/Credit: 国立極地研究所

その結果、アデリーペンギンの獲物の捕獲率も上がり、仲間同士でのエサの奪い合いもなくなっています。

こうした理由から、アデリーペンギンの健康状態が向上し、親鳥の体重に増加傾向が見られました。そのおかげで、ヒナの繁殖率や成長速度、生存率が格段に上がっていたのです。

現時点で、南極の海氷は増加の一途をたどっていますが、今世紀中には急激な減少に転じると予測されています。しかし、アデリーペンギンにとって、海氷の減少はむしろメリットになるのです。

気候変動で絶滅の危機に迫られる生物が多い中、アデリーペンギンは、数少ない温暖化の勝者となるかもしれません。

研究の詳細は、6月24日付けで「Science Advances」に掲載されています。

Foraging behavior links sea ice to breeding success in Antarctic penguins
https://advances.sciencemag.org/content/6/26/eaba4828

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