エサの増加で栄養状態が格段にアップ!
さらに、日光が当たる海面積が増えることで、植物プランクトンの大量発生が起きていました。
それにより、植物プランクトンをエサにするオキアミの数が急激に増加。オキアミのサイズや栄養分も、海氷があるシーズンと比べると、圧倒的に大きく、高くなっていました。
オキアミは、アデリーペンギンの主要な栄養源です。
その結果、アデリーペンギンの獲物の捕獲率も上がり、仲間同士でのエサの奪い合いもなくなっています。
こうした理由から、アデリーペンギンの健康状態が向上し、親鳥の体重に増加傾向が見られました。そのおかげで、ヒナの繁殖率や成長速度、生存率が格段に上がっていたのです。
現時点で、南極の海氷は増加の一途をたどっていますが、今世紀中には急激な減少に転じると予測されています。しかし、アデリーペンギンにとって、海氷の減少はむしろメリットになるのです。
気候変動で絶滅の危機に迫られる生物が多い中、アデリーペンギンは、数少ない温暖化の勝者となるかもしれません。
研究の詳細は、6月24日付けで「Science Advances」に掲載されています。
https://advances.sciencemag.org/content/6/26/eaba4828
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