「ドラゴンはどうやって火を吐くのか?」科学的な仕組みを本気で検証してみた!
「ドラゴンはどうやって火を吐くのか?」科学的な仕組みを本気で検証してみた! / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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「生物が火を吹くことは可能か?」科学的な仕組みを本気で検証してみた! (2/3)

2024.06.25 Tuesday

前ページ火をつけるための「燃料」は何がベスト?

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高温ジェットを吐くには「あの虫」の能力が必要

火をつけるのに必要な酸素については空気中にいくらでも浮遊しています。

しかしドラゴンに見られる強烈な火炎放射を実現するには、空気中の酸素を使うだけではまったく足りません。

そこでドラゴンの火炎放射を再現したいなら「ミイデラゴミムシの能力が最適だ」とローチ氏は指摘します。

ミイデラゴミムシは俗に言う”ヘッピリムシ”として有名な甲虫の一種です。

彼らについてはお尻から高温のガスジェットを噴出できることで有名でしょう。

ミイデラゴミムシは腹部に2つの特殊な腺を持っており、片方で「ヒドロキノン」を、もう片方で「過酸化水素」を生成しています。

これらは別々に貯蔵されていますが、天敵に襲撃されると、この2つを特殊な酵素を使って混ぜ合わせ、ヒドロキノンをベンゾキノンに酸化し、過酸化水素を酸素と水に分解します。

このプロセスで大量の熱が発生し、混合物は急速に沸点まで上昇して、ミイデラゴミムシのお尻から強烈なガスジェットとして噴出されるのです。

ミイデラゴミムシの能力を搭載すると、強烈なガスジェットを噴射できる!
ミイデラゴミムシの能力を搭載すると、強烈なガスジェットを噴射できる! / Credit: canva / ナゾロジー編集部

数センチ足らずの小さな体にも関わらず、高温のガスジェットは約100℃にも達します。

そしてローチ氏いわく、ドラゴンがミイデラゴミムシと同じ機能を搭載していれば、いくつかの大きなメリットがあるという。

1つ目はこの化学反応が強力な高圧を生み出すため、オイル燃料を勢いよく噴出できるようになること。

2つ目はこの化学反応が高熱を発生させるため、オイル燃料が加熱され、燃えやすくなること。

そして3つ目は化学反応のプロセスで「酸素」が発生するため、それをオイル燃料に高濃度で混ぜられることです。

あとドラゴンに必要なのは、ガソリンエンジンのキャブレター(ガソリンを霧状にして空気と混ぜ合わせ、エンジンに送り込む装置)に相当するような生物的な器官でしょう。

これがあれば、オイル燃料を酸素を混ぜ合わせながら、霧のように細かく噴霧できるので、着火もより簡単になるといいます。

では最後に、この可燃性のジェットを引火させるための「熱源」について見ていきましょう。

次ページさあ、奴の力を借りて「火」をつけよう!

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