ボトルアクアリウムの簡単な作り方!失敗しない手順と必須ポイントを紹介するよー!

science_technology 2019/08/18
Credit: weili.zhaoer/Instagram

水族館をはじめ、水の中に泳ぐ魚を見ていると癒されますね。自宅でも味わいたいけれど、水槽を置く場所がないし、機器のメンテナンスも難しそうという方は、ボトルアクアリウムはいかがでしょうか。

ボトルアクアリウムは、ビンの中に水草や魚が入っていて、机の上などで手軽にアクアリウムが楽しめるというもの。雑貨屋などで見たことがある方もいらっしゃると思います。ただ、手軽ゆえに簡単だと勘違いされることが多く、すぐに生体が死んでしまったという話は珍しくありません。

そこで今回は、「手間をかけず」「少ない費用で」「長期で維持できる」ボトルアクアリウムの作り方を、失敗を回避するためのポイントとともにお教えします。以前ご紹介した「双眼鏡による木星のガリレオ衛星の観測」と同様、夏休みの自由研究にも最適だと思いますよ。

見た目にも涼し気です。

ローレンツ式アクアリウムとは

ボトルアクアリウムといってもさまざまなものがありますが、筆者が魅力に思うのは、「まるで地球のようにビンの中だけで、ほぼ生態系ができる」もの。よって、目指すのは「ローレンツ式アクアリウム」となります。

「ローレンツ式アクアリウム」とは、ノーベル賞受賞者であり、動物行動学者のコンラート=ローレンツが著書『ソロモンの指環』(まるで動物好きブログなので、生き物好きは一読されたい)で紹介する、ろ過装置やエアポンプといった水質維持用の機材を用いず水槽の中にいる生物同士で環境のバランスをとるアクアリウムのこと。

Image: Psicología Mente ローレンツ博士。ガンが最初に見た動くものを親と思う、「刷り込み」の発見で有名。

つまり、植物が出す酸素を魚などの動物が使い、植物は魚などの生物が出す二酸化炭素と排泄物からの養分を吸収して成長し、水を浄化するという循環が保たれることが特徴です。

なお、なるべく人工的なものを排除したいので、照明やヒーターも不要な環境を作ることにしました。

POINT1:びんの大きさと形状

ボトルアクアリウムでもっとも失敗する要因は、水量が少ないこと。ショップなどで市販されているものは、350mlほどの小びんが大半です。小さな水槽は取り回しがしやすそうですが、実は小さくなるほど難易度は高くなります

魚は食事や排せつ、生活を水の中という同じ空間で行うため、水量が少ないほどすぐ水が汚れます。また、水が少ないということは酸素が少ないうえ、気温に影響されやすく、水温が激しく上下する過酷な環境です。比較として、お風呂にメダカ1匹泳がせるのと、ティーカップに金魚1匹を泳がせるのを想像してみてください。

ボトルアクアリウムに使うびんは、できれば2リットル、最低でも1リットルくらいのものを用意してください。底砂を入れると、水量はさらに少なくなることを考慮しましょう。

また、びんの口は広いものを選びます。水草は二酸化炭素を消費して酸素を出してくれますが、夜間は動物と同じように酸素を消費します。よって、夜間は酸素不足で生体が死んでしまう確率があがります。

びんの口が広いと水面が広くなり、空気と水が触れる面積も大きくなります。それにメンテナンスがしやすい利点もありますよ。

今回使用した、ガラスの広口びん。

POINT2:底砂の種類

市販のボトルアクアリウムでは、カラフルなビー玉だけのものや、色砂が入っていることがあります。しかし、ろ過フィルターがない以上、底砂がろ過バクテリアの住処になるので重視したほうが良いです。

そもそも、水槽に基本的についているろ過フィルターの役目はというと、水を浄化してくれる、ろ過バクテリアを住まわせることが目的です。

水槽のフィルターのろ過槽部分

魚は排泄物やエラから水中に有害なアンモニア(NH3)を出しています。これを硝化細菌と呼ばれるバクテリアが、これまた毒性のある亜硝酸(NO2)に分解してから、毒性の低い硝酸(NO3 )に分解します。

このアンモニア(NH3)の割合はPHと水温が高くなるほど増えるので、水質をアルカリに傾けない底砂にします。サンゴ砂はアルカリ性になるのでやめましょう。PHが下がり、水質が弱酸性に傾くソイル(土)系が良いかと思います。

あわせて生体もアルカリ性を好まないものにします。また、表面積が増えるほどバクテリアの住処が広くなるので、多孔質な底砂がより良いです。

POINT3:水草の種類

今は「ネイチャーアクアリウム」と言われる、まるで草原の中に魚が泳いでいるかのような美しいレイアウトがポピュラーです。

ネイチャーアクアリウムの例

しかし、あのような「草原」を作る水草は、二酸化炭素の添加が必要ですし、強い光を必要とするものが殆どです。部屋の中に差し込む程度の光や空気中の二酸化炭素では育ちません。室内環境でも育ち、水中の余分な栄養を吸収してくれて、よく育つ水草を選びましょう。

おすすめなのは、以下の水草です。

・マツモ

浄化能力が高く、とにかくよく伸び、成長することで有名です。ただ、たまに水質が合わないと溶けてしまうことがあります。

・アナカリス

中学理科においては「オオカナダモ」でおなじみ。葉がしっかりしているので、枯れてきたものを剪定しても散らばりません。ただ、たまに出る根っこの見た目が悪いので、出たときはカットしましょう。

・カボンバ

マツモと同様にキンギョソウとしてポピュラー。形状がはっきりしてきれいですが、上の2種に比べると、少々難しい印象です。

POINT4:生体の種類

ヒーターなしで管理したいため、熱帯魚ではなく、温帯にすむ「温帯魚」かつ大きくならない魚にします。熱帯魚というと名前から、暑くても平気だと思われ、夏の高水温で「熱帯魚なのに死んでしまった…」という話を聞きます。

しかし、熱帯魚と言われるものは、23℃~28℃くらいが適温のものが多く、シビアな温度管理が必要となります。よって、室内が10℃程度なら冬の寒さにも耐えらえる、以下の魚をおすすめします。

ちなみに、冬に室内が10℃以下になる地方の方も、ボトルの下に敷けるヒーターもあるので、心配いりません(少し人工的にはなりますが)。

・アカヒレ
小さくとも鯉の仲間です。飼い込むとヒレや尻尾の赤が鮮やかになって美しくなります。

・ゴールデンアカヒレ
黄色っぽい体のアカヒレです。なお、アカヒレにはほかにもヒレが長いロングフィンという種類もあります。

・黒メダカ
原種とされる一般的なメダカです。

・白メダカやヒメダカなど

ほかにもメダカは品種改良が盛んで、さまざまなバリエーションがあります。ただ、変わったものは価格も高いので、ボトルアクアリウムに使うのはもったいないかもしれません。また、原種に近いほうが生命力も強い印象です。

白メダカ
楊貴妃メダカ。最近のメダカブームのきっかけになったそう。

POINT5:生体の数

1ボトルにつき、魚は1匹にしてください。1匹だと寂しそう、かわいそう、お友達を…と増やしたがる方が多いですが、魚は縄張り意識が強く、いっぽうをいじめてしまいます。しかも、水質の悪化は2匹で2倍になり、良いことがありません。

想像してください。たとえ仲のよい友達でも、6畳のワンルームで24時間2人で過ごしたくないですよね…? 何気に善意で陥りやすいミスなのですが、とても重要です!

POINT6:餌をやるのを我慢する

これも良かれと思ったことがあだとなるケースなのですが、多くの人は餌のやりすぎです。実はアクアリウムでは餓死よりも水質の悪化が原因で死ぬことが殆どなのが事実。2日に1回、食べきれる量を与えれば十分です。狭い空間における浄化能力の範囲で運用することを意識しましょう。

実際に作ってみよう

材料は、以下のものを用意しました。基本的にアクアリウムショップで手に入ります。

・ガラスボトル
洗っておく(洗剤不可)。光や見えやすさを考えると、蓋は透明なほうがいいかもしれません。今回は100円ショップで容量900mlのボトルを購入。

・底砂:「Dr. Soil」
多孔質で水質が安定すると定評のあるソイル。ろ過が重要なのでお金をかけましたが、安く済ませたいなら、100円ショップなどの園芸用の赤玉土でも運用可能です(経験済)。

ドクターソイル。水の浄化作用もあるとか。

・水草:アナカリス
フグを飼育している水槽で増え続けているものを流用。

・水温計
30℃以上の高温は避けたいです。外から見て環境を判断できる貴重な部分となります。100~200円のものでいいので、ケチらないように。

・カルキ抜き
水道水を汲みおいて、一晩置けばカルキは抜けるというものの、いちいち待つのは面倒ですし安いので買いましょう。それに、夏場はカルキの量が多いので、一晩待つだけで抜け切っていないかもしれません。

・太いスポイト
ゴミとり、食べ残しとり、水替えなど、とにかく役立つのでオススメです。

カルキ抜きと太いスポイト

・ボウル
水を換えるときや作業するときあると便利です。100円ショップで購入可能。

・装飾品
必須ではないので、石やビー玉などをお好みで。今回は「風山石」を使っています。拾ってきた石を使う場合は、余計な生物を持ち込まないよう煮沸を推奨。なお、流木は水質を酸性に傾け、石はアルカリ性に傾けると言われています。

アクアリウムショップでは数百円でちょうどいいサイズのさまざまな石が手に入ります。

・石巻貝などの貝類
生体です。必須ではありません。

初日にやること

まず、ガラスボトルの中にソイルを3センチほどの高さまで入れ(大きいボトルの場合、もっと入れてOK)、石などの装飾品を配置します。

ボウルに水を入れてカルキ抜きを添加し、ガラスボトルにゆっくりと注ぎます。それから温度計を取り付けて、水草を入れます。

置いておくと水が澄んでくるので、貝を買っていたら投入します。貝を入れるメリットは、食べ残しや苔を食べてくれ、生態系が豊かになること。また、排泄物を出すので、ろ過バクテリアの繁殖に一躍かってくれることや、生き物が増えて目に楽しいところです。

デメリットは貝が卵を産むと見栄えが悪くなることや、蓋を付けないと脱走すること。それに水替えをしないとPHが低くなって殻が溶けるので、ときどき意識して水替えをしましょう。

なお、おすすめな貝は石巻貝やシマカノコガイ、ラムズホーンなど。ただ、前者2種は粒粒の白い卵をよく産み(淡水では孵化はしない)、ラムズホーンはとにかくよく殖えるので注意です。

シマカノコガイ
石巻貝。奥の白い貝は別のブルーアップルスネイルという種です。

直射日光にあたらない、明るいところに置きます。光のあたらないデスクのうえにインテリア的に置くなら、このようなライトを使うとオシャレかもしれません(自然らしさからは外れますが)。

ボトルアクアリウムにピッタリなランプもアクアリウムショップで扱っています。

この時点では、まだ水を浄化するバクテリアは繁殖していないので、魚は入れずに1週間待ちましょう。

なお、酸素不足にならないよう、蓋はゆるくしめて密閉しないでください。特に夏場は水温が上昇しやすいので、酸素が水に溶けにくく、酸素不足になりやすいです。

100円ショップでも売っている鉢底ネットを蓋のかわりにかぶせると、水温上昇をやわらげる面でも良いと思います。水が蒸発するのでこまめに足してあげましょう。

レッドラインパファーのいる普通の水槽も、夏場は蓋を鉢底ネットにしています。

水温が30℃を超えるようなら、温帯魚で耐性があるとはいえ、エアコンのある部屋に置いたり、側で扇風機をかけてあげたりするのが望ましいです。

1週間後にやること

1週間たったら、魚を入れます。購入した袋の中に入っている水を抜きつつボトルの水を袋の中に入れて混ぜ、15分放置を繰り返して新しい水に慣らせます(ボトルの水1/3ほど使用)。最後に袋の中の水をなるべく入れないようにしてびんに入れます。スポイトを使うと楽です。

ボトルの水が減ったぶん、カルキ抜きした水を足しますが、ボトルの水と水道の水に温度差が生じないように温度計で確認し、冷たいようなら水道の水にお湯を足して調整します。とりあえず、完成です。

最初の1カ月の管理が重要!

水草や貝を入れておいたので、水を浄化するバクテリアは少量いるものの、まだまだ不十分です。水ができるまで、だいたい1カ月かかるので、勝負期間となります。

水替えは2~3日に1回、スポイトでびんから1/3程度の水をとり、カルキを抜いて温度をあわせた新しい水を追加します。慣れれば10分ほどの作業です。

1週間ほどアンモニアが発生し、そのあと2週間ほど亜硝酸が発生します。それらがなくなり、硝酸が出てくるようになったら、生体が生きられる最低限の環境のできあがりです。

ちなみに少々高価ですが、試薬(高いが精度が高い)や試験紙(精度は低いが手軽)で見て確認することが可能です。

筆者が使用している水質調査グッズ。上は試薬、下は試験紙タイプ。

縁日で金魚をすくって、水槽がないと同時に購入して飼うと、1~2週間で死んでしまうことが多いのは、これが理由です。アンモニアや亜硝酸を分解してくれるバクテリアが繁殖していないのに、餌や排泄物が過剰になるからです。

餌は2日に1回、食べ残しがないようにごく少量与えましょう。水に浮くタイプがオススメです。魚が見つけやすいし、食べ残しをしたらスポイトで吸い取ることができて水が汚れにくいです。

餌をパラパラ落としたところ。少なすぎると思っても、お腹はふっくらします。

ボトルアクアリウムを楽しもう

1カ月たったら、あとの管理は楽です。

水草もだいぶ伸びてきていると思うので、適宜カットしましょう。水替えの頻度も減らして大丈夫です。ちなみに、こちらは開始してから4カ月後のボトルアクアリウム。すっかり安定して水の透明度が増し、水草も魚もイキイキとして良い状態です。

夏場は水質が悪化しやすいので、筆者はかなり安全策をとって900mlのボトルで週に1回1/3水替えをしていますが、2週間に1回で問題ない印象です。水の容量が1.5lなど多ければ、2週間に1回でいいかと思います。なお、蒸発したぶんの水はこまめに足すようにしてください。

冬場は900mlのボトルなら2週間に1回、容量の多いボトルなら1カ月に1回で運用できるのではないでしょうか。

これはやっているうちに感覚でわかってくるところですし、水草の成長具合でも、「富栄養化しているから餌のやりすぎか水替えのタイミングかな」といった予想ができてくると思います。

慣れてきたら一歩進んで、箱庭感覚でレイアウトなどにこだわるのも良いですね。

Credit: weili.zhaoer/Instagram

様子を見ながら管理していくのがボトルアクアリウムの醍醐味でもあるので、自分で作った「小さな世界」で行われる変化を楽しみましょう!

最後に:なるべく安く作るには?  材料の購入場所をご紹介

ちなみに、記事であげた材料だと、1800円ほどかかっていますが、ダイソーなどの100円ショップでびん、赤玉土、カルキ抜きを購入し、安い店で生体や機材を買い、石などの装飾を使わなければ、1000円ほどで作れます。

アクアリウムショップだと、品揃えが多くて安いのはアクアリスト御用達の通販「Charm」ですが、送料を考慮する必要があります。

都内のショップだと、生体の種類と価格のバランスでは「市ヶ谷フィッシュセンター」や、少々価格は高めですが、「アクアフォレスト」なら、「ネイチャーアクアリウム」に力を入れているので、美しい石などの材料が多く、レイアウトにこだわりたい向けです。ボトルにピッタリな材料もそろっていますよ。

 

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Reference: アクアフォレスト(撮影協力)/ written by ofugutan

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